考えを文章で伝える練習帳

考えを文章で伝える練習帳。文章を書く習慣を付けたいです。

沈まぬ太陽(山崎豊子)

まだ全部読み終わってないのだけど、色々考えさせられたことが多いので
ここまでの感想を。

アフリカ編は、労使交渉と差別人事のお話。私が小学生くらいの頃は
よく電車とかがストライキをやっていて、父が出勤するときに車を使っていた
記憶がある。最近では去年プロ野球がストをやったくらいで、社会全体としては
縮小傾向にあるようだ。主人公は労働団体の委員長を務めたために、アフリカまで
左遷されてしまうのだが、現代に生きる私にとっては、会社に歯向かった代償としては
至極当然の結果と感じてしまう。組織にとってプラスになることを提案しているつもりでも
首脳陣にあからさまに敵対するような態度は好感は得られない。誰かも言っていたけど
(自分にとって)正しいことをやりたければ偉くなるべきで、労働団体という組織を利用
するのメリットデメリットを考えると、デメリットのほうが大きいのは分かりそうなもの。


この作品から感じられるのは、世の中には絶対的な善と悪があり、善行を重ねているのに
報われないキャラクターはなんと不幸で可哀相なのだろう。
こんな社会or会社は問題だ。なんとかしなきゃいかん。といった反体制的な考え方だ。
最近の作品だとメディアは違うが、踊る大捜査線なんかが近いと思う。
自身の正義を貫くことは必ずしもかっこいいことではない。それ相応の地位についてから
自分勝手なわがままを思う存分発揮するべきで
低い身分という理由で意見が取り上げられないのは当たり前のことだ。
弱者が嫌なら強者になればいいじゃない。なれないなら諦めると。


で、散々叩いておいてなんだけど、この本は読んでいてとても勉強になった。
ついこの前JR西日本が列車事故を起こしたが、御巣鷹山での日航機墜落の時と
会社の対応は何も進化していないのだなと。また労使闘争の時代背景なんかも
一方的な解釈ながら、細かく表現されていて満足度は高い。小説としては
台詞回しがやたら説明口調なのと、判官贔屓的な解釈が鼻についていまいち。


御巣鷹山編、会長室編は読了したあとにでも。