草原の椅子(宮本輝)

大勢批判ばっかり。上手くいかない理由を抽象的な上部に求めるのは、安全(個人を傷つけず)確実(もっともらしく)の上にちょっと威厳も加わって、選択肢としては魅力的。批判は対案(代案)あってのものでしょう。あとがきにもあったけど、日本に対する怒りとか、じゃあどうあるべきかとかが全く具体性を伴わないのが困る。現代に生まれたことを不幸だと思う人って意外と多いのか。幸せは相対的にしか定義できないという前提においても、現代の日本人の取り得る人生における選択肢の広さはこれまでに無い高いレベルにあると思うのだけど。嫌なことがあった際にタクラマカン砂漠へ遊びにいける自由をどうして当たり前だと感じられるのか。私も50を過ぎたらこういう感覚が理解できるようになるのかもしれない。