考えを文章で伝える練習帳

考えを文章で伝える練習帳。文章を書く習慣を付けたいです。

沈まぬ太陽[山崎豊子]

会長室編について。事実なのかどうか定かではないが
あとがきを読んだ感じだと、物語全てが事実を元にしたフィクションらしい。


事故を起こしておいて、為替で利権をむさぼるなんて許せない
的な解釈はおかしい。例えばJR西日本では事故を起こした後に
ゴルフやらボーリング大会を開いて新聞で叩かれていたが
事故は事故で原因を突き止めるべきであり、宴会や為替は別の問題だろうと。
それを関連付けて、神経を逆撫でするだの、遺族への配慮が足りないだのは本質的ではない。
ボーリング大会が事故再発に繋がるわけでもあるまいに。
読売新聞は一面でとりあげていたが、女性週刊誌のように感じた。
程度の低さ、感情を煽るだけで内容の無い記事等の理由で。

全5巻だったが、会長室編は冗長な印象。事実を元にしてる以上
あっと驚くどんでん返しは期待できないが、ラストもまとめかたがいまいち。


それらの不満点を考慮しても、満足度はかなり高い。
まず、JR西日本が事故起こしたせいでとてもタイムリーな時期だったこと。
更に、これは母とも話したことだけど、1980年生まれの私にとって
労使闘争や日航機墜落事故というのは、歴史の中の出来事であり
その時代の雰囲気や事件の全貌をしっかりした形で知る機会が今までなかった。
今回この作品を通じて、当時の社会がどのようなものだったのか、少しでも情報として
得られたのが非常にうれしい。私の父は日航機墜落事故で上司であった人を亡くしたそうだが
今でもJALに良く乗っているようだ。そのくせ息子の私にこの本を薦めたりしてるあたり
複雑な心境なのだろう(単に何も考えて無いだけかもしれんが)。私自身も本当に色々考えさせられた。
あとは事実とどれだけ相関性があるのか調べてみたいところだ。